伊藤龍彦油彩画展-『サイレント・デイズ』|名古屋の画廊ギャラリータマミジアム

伊藤龍彦油彩画展-サイレント・デイズ|2010年12月11日(土)〜12月19日(日)〔※15日(水)休廊〕|午前11時〜午後6時

独立美術協会準会員で洋画家の伊藤龍彦先生による油絵の展覧会「伊藤龍彦油彩画展-Silent Days」をご紹介。

伊藤龍彦油彩画展-展覧会のご案内

展覧会のご案内

伊藤龍彦油彩画展広報用画像「Silent Days」(C)伊藤龍彦 Tatsuhiko Itoh / (C)ギャラリータマミジアム Gallery Tamamiseum

静寂の中で―。

 三重県在住の洋画家、伊藤龍彦先生(1960年名古屋市生まれ)が描く油彩画には、人物が一人も登場せず、静寂に満ちた現代的な風景が、まるで写真のようにリアルに描写されています。


 誰の目にも留まらないような、路傍の風景の中に独特の美を見出す伊藤龍彦先生は、目に見えるものをそのまま描きながら、目には見えない大切な何かを現代人に呼び覚ましてくれるようです。

 今展では、作家が感性、悟性、理性を駆使しながら、日常の風景を超越論的な視点で描いた油彩画の秀作15点を展示します。何卒是非ご高覧ください。

〔図版=伊藤龍彦油彩画展イメージ広報用(『Thank you. Wyeth.』 伊藤龍彦 2010年 SM)〕


求めるもの―。

 今は普段見ても何も感じないような、ありきたりのものを、美しいと感じるような作品を描きたいですね。路傍にある、まったく目にとめないようなもの。それらをモチーフとして、何かに初めて出合った時に感じる『なんだろう』という驚きや好奇心のようなものを、見た人の中に呼び起こすような作品です。どんな些細なものであっても、必ず何かを語りかけている。目に見えるものをそのまま描きながら、そこから見えないものまで感じられる。そんな表現ができたらいいですね。

(伊藤龍彦)


伊藤龍彦油彩画展-開催概要

展覧会名
伊藤龍彦油彩画展-サイレント・デイズ
Tatsuhiko Itoh Exhibition 2010 - Silent Days
展覧会会期
2010年12月11日(土)〜12月19日(日)
休廊日
12月15日(水)
開廊時間
午前11時〜午後6時
入場観覧料
無料
出品作家
伊藤龍彦 (いとう たつひこ)
作家来廊日
12月11日(土)・12日(日)・18日(土)・19日(日)の午後1時からを予定。
展示内容
油彩画15点

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伊藤龍彦展によせて(2007年)

インヴィジブル〔invisible;目に見えないもの〕

伊藤龍彦作品 これまで伊藤龍彦が描く絵の中の光源は、「夜の風景」にこだわりを見せていたためか、その多くが蛍光灯などの人工照明であったり、鏡のような水面に映った反射光であったりして、あたたかみを感じさせるような光源が用いられることは少なかったように思われる。しかし近年、その光源には太陽光が用いられ、より暖かみのある外光が採用されるようにもなった。果たして、作家に何か心境の変化でもあったのだろうか。それとも、それは単なる私の思い過ごしであろうか。

 いずれにしても、絵の中には依然として人の姿は描かれず、水平垂直で直線的なフォルムを持つ人工物が、静寂に満ちた、光と陰の織り成すドラマティックな空間の中に配置されるスタイルに変化は見られない。そして私はいつも、その絵画空間の中に人の気配を感じとってきた。いや、それどころか作品を前に対峙していると、絵の中に人の幻影を見るまでに至るのだ。伊藤龍彦の絵を見て、「人が去った後の静けさ」と表現する人は多いが、それは私にはあてはまらない。確かに絵の中には人物は描かれていない。しかしそこには、目に見えない人物が存在していることを私は確信する。伊藤龍彦の作品を見てこのような思いを経験した人は、恐らく私の他にもいるのではないだろうか。そしてその幻影は、見る人によって年齢や性別、生い立ち、表情、動作など様々に変化し、静寂な空間もまた、沈黙を破るかのようにゆっくりと動的な空間へと変化して見せるのだ。やがてその絵画空間の中に、筋書きのない千差万別のストーリーが展開されていく。…私はふと思う。もしかするとこの鑑賞者に委ねられた一連の作業(鑑賞過程)は、実は伊藤龍彦によってはじめから計算され、故意に仕向けられていたものなのではないだろうかと…。


伊藤龍彦作品 伊藤龍彦がいくら人の姿を消し去っても、なお画面の中に残される人の痕跡。それは、絵の中の光源と共に放たれ、寄せてくる「人の心の温度」であると私は思っている。代表作となった「夜://merry-go-round」のシリーズでは、雨上がりの夜、誰もいないメリーゴーランドに煌々と電灯が灯され、水溜まりの表面にはメリーゴーランドの美しい虚像が映し出される。静寂な空間の中で、時間が止まったかように描かれる、半ばシュールな光景の世界。私の目の前ではやがて、回転木馬に乗る子どもたちの幻影が現れ、メリーゴーランドが子どもたちの声と共にゆっくりと、そして静かに動き始める。しかしその幻影を見ている私にとって、必ずしも楽しいという感覚が伝わってくる訳ではない。蛍光灯から発せられる無表情な光が、冷たい水面に反射してなお冷やされ、私の目の奥深くまで入り込んでくる感覚。これがもし、目に見えない登場人物の心を映す鏡であるとするならば、それはあまりにも現代的で、冷ややかで、孤独感を拭い去ることはできない。しかしながら現代人にとって、人工照明はあまりにも身近なものであり、そのドライな冷ややかさの中にさえ、暖かさや懐かしさ、安堵感を見出すことができるのもまた事実である。現代とは、そういう時代なのだ。


伊藤龍彦作品 今回の展覧会で私が最も注目しているのは、「夜の風景」ではない作品たちである。新しい試みのためか、作品タイトルがまだ決定されていないものもある。人工照明や水溜まりに反射した虚像が描かれないそれらの作品では、窓から差し込んでくるやわらかい外光がとりわけ印象的である。私はいつものように作品と対峙し、「見えない登場人物」が現れるのをじっと待つ。するとやがて、私に親しみを持って語りかけてくる人物が現れてくる。逆光のためか、その顔を見ることはできない。そしてまた、その人物がいったい誰なのか、私にはわからない。しかしながらその人物は、外光の温もりを重ねたかのように、「人の心の温度」を私に伝えてくれる。その温度は、心地よく私の心にひた寄せてくる。

〔図版上=『5つのベンチチェアー』 伊藤龍彦〕

〔図版中=『夜://merry-go-round』 伊藤龍彦〕

〔図版下=『軽井沢/冬』 伊藤龍彦 4号〕

〔文:ギャラリータマミジアム・下山貴弘(2007年10月28日)〕

※本文中の作家への敬称は略させて頂きました。

伊藤龍彦|略歴

伊藤龍彦 (いとう たつひこ)

伊藤龍彦作品画像1960年名古屋市生まれ/1993年三重県展三重県市長会長賞/1995年第8回東京セントラル美術館油絵大賞展/1997年第7回ART BOX大賞展(グリーン・ネットワーク賞)/1998年第7回青木繁記念大賞公募展(優秀賞)/第4回小磯良平大賞展/1999年第8回青木繁記念大賞公募展(奨励賞)/第67回独立展(新人賞)/2000年第29回現代日本美術展/第9回青木繁記念大賞公募展(優秀賞)/第68回独立展(安田火災美術財団奨励賞)/2001年坂角賞受賞者展(大賞)/アートフォーラム三重展(S賞)/21世紀を担う洋画家たちα展(三越日本橋本店 ※以後出品を重ねる)/個展(ギャラリー山口/東京)/2002年第11回青木繁記念大賞公募展/安田火災美術財団選抜奨励者展(秀作賞)/個展(画廊喫茶パラス/三重)/2003年第1回栴檀会(ギャラリータマミジアム/以後毎年)/レスポアール展(銀座スルガ台画廊)/個展(ギャラリー山口/東京)/2004年第72回独立展(新人賞)/第13回青木繁記念大賞公募展/2005年個展(Yoshiaki Inoue Gallery)/2006年「リアリズムへの視点」30〜40代の写実派実力作家による新作展(オンワードギャラリー日本橋/東京)/2007年LIONCEAUX 2007 現代洋画の俊英たち展(三越日本橋本店/以後出品を重ねる)/伊藤龍彦油彩画展「インヴィジブル」(ギャラリータマミジアム)/2010年伊藤龍彦油彩画展「サイレント・デイズ」(ギャラリータマミジアム)/2010年現在:独立美術協会準会員

〔図版=『マナツノヨノユメ』 伊藤龍彦 S50号 油彩画〕

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