蒲地清爾銅版画展-『アンダーグラウンド』|ギャラリータマミジアム

蒲地清爾銅版画展-アンダーグラウンド|2003年11月22日(土)〜12月2日(火)〔※水曜日休廊〕|午前11時〜午後6時

銅夢版画工房主宰の銅版画家、蒲地清爾先生によるアンダーグラウンド(アングラ)旋風の影響を受けた銅版画の展覧会「蒲地清爾銅版画展」をご紹介。

蒲地清爾銅版画展-展覧会のご案内

展覧会のご案内

 蒲地清爾先生はこれまで一貫して“生と死”、“楽と苦”、“善と悪”、“美と醜”をテーマに、内なる精神の叫びを銅版の上に刻み込んできた作家です。そのアンダーグラウンド(アングラ)的な表現には、はじめ、ちょっと驚かされますが、隅々まで描かれた細かい表現を観るにつれて、不思議と人間くさい蒲地先生の世界観に吸い込まれていくようです。

  1960年代に一世を風靡したアンダーグラウンド(アングラ)旋風、近頃ではあまり目にすることがなくなりましたが、蒲地先生の銅版画世界の中にしっかりと、脈々と受け継がれてきました。このスタイル、21世紀の現代に生きる私たちに、あらためて新鮮なインパクトを与えてくれることでしょう。是非ご高覧ください。

〔図版=『贖罪』 蒲地清爾 銅版画〕


蒲地清爾銅版画展-開催概要

展覧会名
蒲地清爾銅版画展-アンダーグラウンド-Seiji Kamachi Exhibition 2003
展覧会会期
2003年11月22日(土)〜12月2日(火)
休廊日
水曜日
開廊時間
午前11時〜午後6時
入場観覧料
無料
出品作家
蒲地 清爾 (かまち せいじ)
作家来廊日
11月29日(土)
展示内容
銅版画

蒲地清爾銅版画展に関する資料(1)

「陰」を描く芸術家の孤独

 以前いろいろな人から「もっと人に好まれるような絵を描いたら…」、「骸骨を描くのはもうやめろよ…」とか言われたものである。今では皆諦めたのか、このような事を言う人も居なくなった。

 この連載にあたって、まず私がどのようにして銅版画というものに出逢い、その魅力の虜となり制作し続けているかを述べたい。内向的で絵を描くのが好きであったが、具体的に絵の道へ進もうと考えたのは二十才を過ぎた頃である。いくつかの美術学校に行くが、どうも膚に合わず、自分が求めているものと何か違う気がして、それぞれ一年ほどで退学している。それら美術教育は一般平均的な「陽」の世界を目ざしているように思えた。陽のある所には必ず陰が有るものである。生と死、楽と苦、善と悪、美と醜といったものは一枚の紙の裏と表のように密着相関し合っているものと考え、そして私は本能的にその陰の部分をも描き出す使命のようなものを感じ取っていた。芸術家は多かれ少なかれ苦悩と葛藤の中で制作しているものであるが、ましてそのテーマ性から人が忌み嫌うものを描かなくてはならない作家は、時として悪魔のように孤独である。

 学校も、又一般的就職も拒絶反応をおこした私は貧窮この上ない状態であり、何とか生きていく為に考えた事が、街角で絵を売る事であった。当時ペンとカラーインクで描いた絵をパネル張りしたものを銀座の中心街に並べたのだ。「新鋭イラストレーターの直筆原画即売会」というはったりの看板がきいたのか、当時腰まで伸びた長髪が珍しかったのかすぐに黒山の人だかりとなり、思わぬ大金を手にする事ができた。これに味をしめ、このような露天商生活が長く続くが、やくざとの悶着や警察の取締りで次第に心が荒んでいくのを感じていた。

 そんな折、私の絵をじっと見つめていた老紳士に「君はこんな事をしていてはいけない」と声をかけられ、銅版画制作を勧められた。(当時、二科会の大御所藤原典明氏)紹介されたのが日本美術家連盟の工房であり、ペンによる線など比較にならないほどの銅版画の密度ある線、神秘的な黒の美しさに魅せられ、現在なお追求制作している所以である。

〔図版=『逸楽の冥府』 蒲地清爾 銅版画〕

(文;蒲地清爾(『蒲地清爾の銅夢12話』 第1話1999年より)

蒲地清爾銅版画展に関する資料(2)

真理の追求

「人は皆、飲んだり食ったり、着たり歩いたりしている事が現実だ、と思っている。しかし本当の現実とは、実体とは別に有るかも知れない。それらがぼくらの求めているものであり、真の現実は神だけではないか…?」

 1967年、ビートルズが単なるティーンエイジャーのあこがれの的ではなくなり、求道者としてインドへ行っていたころのジョン・レノンの言葉である。 むろん人間はパンのみで生きられるものではないが、富も名声も全てを手に入れたかに見える彼に、より大きな苦悩と求道への道を歩かせたのは一体何だったのであろうか?

 人間は本来的に「快さ」を求めて生きるものだという説がある。しかし、快さの追求には歯止めがなく、対立も生み、またそれが常習化するとより大きな欲求となり、結果的には心の休まる事はない。

 二十世紀末、物理的にも精神的にも行き着く所まで来た感があり人間の存続さえも確信できにくい今日、別の角度から物事を見つめる必要があるのではないだろうか?

 私はこの二十数年来、主に生と死、あるいは無常感といったテーマで絵を描いているが(エロスもその一環である)、とても型通りやきれい事では済まされない。

 見方を違えれば世界は変わる。

 歴史的に見ても終戦と共に善と悪の規範は一変し、また生ける者が忌み恐れる死も、死の世界から見れば生こそほんのひとときの仮の宿かも知れない。まして美醜の基準など不確実この上ない。

 人間は「快さ」を求めて生きるものという考えに対し、人間は「善さ」を求めて生きるのだという説がある。それはより能動的考察であり、安易な快適さを凌駕する。

 私はこれを「真理の追求」という言葉に置き換えたいと思う。芸術家はあくまで真理の追求者たる宿命を担い、その作品はもう一つの世界をかいま見せてくれる神秘の扉でなくてはならない。

〔図版=『幻視の窓』 蒲地清爾 銅版画〕

(文;蒲地清爾(『蒲地清爾の銅夢12話』 第3話1999年より)

蒲地清爾|略歴

蒲地 清爾 (かまち せいじ)

1948年佐賀県生まれ/1966年アンダーグラウンド・ジェネレーション旋風の影響を受ける/1971年この頃より銅版画を始める/ドローイングと銅版画による第1回目の個展開催(アメリカ)/日本美術家連盟工房で銅版画を始める/1972年第40回日本版画協会展に初出品(準会員となる・以後毎年出品)/第49回春陽展(東京都美術館)/第3回日動版画グラン・プリ展(1978年・1983年)/1978年日本版画協会展で準会員最優秀賞受賞(会員となる)/日本版画協会受賞者展(ギャラリー・プチフォルム/大阪)/東京版画研究所などで17年に渡る版画指導にたずさわる/第12回現代美術選抜展(福井県立美術館・他)/1979年ミニ骸骨展(中野紅画廊/東京)/1980年第1回ソウル国際ミニアチュール版画ビエンナーレ展(韓国・1986年佳作賞)/1983年第1回東京セントラル美術館版画大賞展(東京セントラルアネックス/東京・他)/ミニアチュール国際版画展(カダケス/スペイン)/第1回中華民国国際版画ビエンナーレ展(台北市立美術館1985・1987・1989)/1984年1984埼玉美術の祭典(埼玉県立美術館)/1988年第6回ソウル国際版画ビエンナーレ展(韓国)/第5回版画日動展(日動画廊/東京〜1992)/1989年ニューヨーク国際ミニアチュール版画ビエンナーレ受賞(アメリカ)/1990年第9回フレヘン国際版画トリエンナーレ買上賞(西ドイツ1993)/第4回ルビン国際版画ビエンナーレ展覧会賞・特別賞(ポーランド)/1993年第1回オランダ国際版画ビエンナーレ(オランダ)/ウッジ国際小版画展(ポーランド)/1994年クラコウ国際版画ビエンナーレ1994(ポーランド)/1995年東京国際ミニプリント・トリエンナーレ1995(多摩美術大学美術館・1998・2001)/1996年スロベニア現代日本版画展(スロベニア)/ポーランド日本の現代版画展(ポーランド)/1997年第1回ルーマニア国際小品版画ビエンナーレ(ルーマニア)/「銅夢版画工房」を設立(後進の指導にあたりながら独自の世界を展開)/1998年第1回銅夢版画展(アートサロン・アクロス/東京・以後毎年出品)/1999年『蒲地清爾の銅夢12話』出版(月刊美術誌268号から279号までの連載収録)/2000年第1回チンタオ国際版画ビエンナーレ銅賞(中国)/KYOTO版画2000展(京都市美術館)/2000年記念蔵書票コンクール銅版賞(東京)/2001年国際EX-LIBRIS版画トリエンナーレ(スロベニア)/2003年ラビリンス「線の迷宮」展(目黒区美術館)/「銅版画の魅力」展(ギャラリータマミジアム)/蒲地清爾銅版画展「アンダーグラウンド」(ギャラリータマミジアム)/この他、ドイツ、イタリア、フランス、スロベニアなどで蔵書票国際展に出品/2003年現在:日本版画協会会員/銅夢版画工房主宰

〔図版=『契約』 蒲地清爾 銅版画〕

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