玉水屋創業250年記念展-『袋物から眼鏡まで』|明治及び大正時代の営業品目を中心に

玉水屋創業250年記念展|2000年5月25日(木)〜6月13日(火)〔※水曜日休廊〕|午前11時〜午後6時

宝暦元年(1751年)創業の玉水屋が創業250年を記念して開催する展覧会「玉水屋創業250年記念展」をご紹介。江戸時代、明治時代、大正時代、昭和時代初期に取り扱っていた営業品目の中から、袋物や印籠、眼鏡、煙管、目貫、陶芸品類を中心に展示。

玉水屋創業250年記念展-展覧会のご案内

玉水屋創業250年記念展-明治時代の眼鏡

展覧会のご案内

 1751年(宝暦元年)、50歳をわずかに過ぎた一介の商人が、京都から名古屋へと移住し、店を開きました。その名を千歳屋佐兵衛といい、のちに当時豪商といわれた水口屋の交易係として働くようになりました。この商人こそ、玉水屋の初代にあたる人物であり、その仕事は長崎と名古屋を往復し、回船のことを担当することにありました。

 当時の長崎は、南蛮貿易によって西洋文化がいち早く取り入れられた港湾都市でした。そこでは、日本人が今までに見たこともないような珍しい舶来品の品々が取引され、商人たちの活気でさぞかし賑わいを見せていたことでしょう。それでは、この地で佐兵衛が見たものとは、いったいどんなものだったのでしょうか・・・。 

 初代の心を好奇心でいっぱいに満たしていた舶来品の品々・・。それらの中には、当然オランダ製の眼鏡があったものと考えられます。たとえ舶来品でなくても、長崎は日本で最も早くから眼鏡の製作技術が伝えられた地の一つでもあり、また、この長崎から眼鏡の製作技術がひろまっていったとされているのですから、佐兵衛がこの地で眼鏡に深い関心を寄せていたことは、まず間違いないでしょう。佐兵衛が長崎で眼鏡を買い付け、さかんに名古屋へ送っていたと考えるのは、決して想像に難くありません。

玉水屋創業250年記念展-袋物 しかし、水口屋から独立した玉水屋が、いつから眼鏡を商いはじめたのかというと、それは残念ながら歳月という霧の中にかすんでしまい、今となっては確証を得る手がかりは見つかりません。ただ、今日の玉水屋が文化を尊重する企業精神を脈々と受け継いでいるのは、初代がこの長崎で西洋文化を吸収したことと、決して無縁ではないものと思われます。それは、玉水屋八代目が米国オプトメトリストの資格を得、日本の眼鏡業界の発展に貢献していることからしても、おのずと明らかでしょう。

 本展におきまして、玉水屋が代々受け継いできた商道における歴史と文化の一端をご覧頂ければ幸いです。是非ご来廊ください。

〔図版上=明治・大正・昭和初期の眼鏡と眼鏡ケース/図版下=明治・大正・昭和初期の袋物とキセルと印籠〕


玉水屋創業250年記念展-開催概要

展覧会名
玉水屋創業250年記念展-袋物から眼鏡まで
明治及び大正時代の営業品目を中心に
展覧会会期
2000年5月25日(木)〜6月13日(火)
休廊日
水曜日
開廊時間
午前11時〜午後6時
入場観覧料
無料
出品作家
伊勢門水/亀倉雄作/河本五郎/栗木伎茶夫/杉本健吉/水谷華山/田中華山/他
展示内容
長崎奉行から玉水屋宛の書信/江戸時代・明治時代・大正時代・昭和時代の眼鏡、光学品、双眼鏡、望遠鏡類/江戸時代・明治時代・大正時代・昭和時代の袋物、印籠、煙管、竹工芸製品/江戸時代の金属工芸品、目貫類/玉水屋のグラフィックデザイン/玉水屋ゆかりの絵画、屏風絵、陶芸品、文献資料、写真資料/他
関連企画
名古屋能楽堂にて「能・狂言」をご披露致します。ご来廊頂いたお客様に限り、ご希望の方には先着順に無料でご招待致します。詳細につきましては、お問い合わせください。

長崎奉行からの書信を公開

長崎奉行からの書信 1825年(文政8年)

長崎奉行からの書信

 左の写真は、長崎奉行より三代目玉水屋庄三郎宛てに送られた書信の一部です。書信の内容は、貿易のために、三代目に出張依頼をしたものです。長崎と名古屋を舞台に繰り広げられていた玉水屋の、老舗ぶりをうかがい知ることができます。

河本五郎作玉水屋建築装飾用陶芸品を公開

河本五郎作玉水屋建築装飾用陶芸品

『玉水屋建築装飾用陶芸品』

 この作品は、1960年(昭和35年)の玉水ビル新築にあたり、玉水屋七代目が陶芸作家の河本五郎氏に制作を依頼したことに由来します。アフリカ、コンゴ地方に住むバソンゲ族の舞踏用仮面をモデルとしたアルカイックな人面のこの作品は、長い間玉水ビルの入口に展示され、玉水屋のシンボルとして親しまれてきました。

 以下の文章は、河本五郎氏がこの作品について述べたものです。

〔図版=『玉水屋シンボル』 河本五郎 1960年〕

最大幅:55.0奥行き:33.0高さ:85.5周囲:140.0(単位:cm)

看板を作る

 津田さん(玉水屋七代目)が訪ねてきたのは、たしか、夏のはじめの頃だったかと思う。津田さんという人は、なかなかのアイデアマンと聞いていただけに予感はあった。手に何やらパンフレットらしきものをヒラヒラさせているのも何か臭い。話しは、新しい店の表に何か焼物で作った彫刻様の「モノ」を取りつけたい。もち論、目を象徴した「モノ」を(看板とひとことも云わなかったのは陶芸に敬意を表してか?)たとえばこんなものはどうでしょうと、くだんのパンフレットの一ページを私に見せた。

玉水屋建築装飾用陶芸品を制作する河本五郎氏 素晴らしい目だ。頭の毛は抜けてしまった、アフリカ人の舞踏面である。アメリカの博物館で見てきたものであるよし。私は知った、眼鏡屋主人の惚れ込んだわけが。日本の古い伎楽面に共通したグロテスクなものだが、ハニワ土器の少女の目と同様、カラッポの球体をカミソリの刃でスーッと切り抜いたとき出来る、洞のような神秘性。しかし、奇妙に艶っぽい。

 なんとかその目を生かした「モノ」をと引き受けたものの、ドラムカン大の大物だけに手こずりながら、どうやら目を光らせたタコ坊主が窯から担ぎ出されたのはすでに秋近い頃だった。落成式の日、玉水屋へ入ったら、半年近く悩まされた艶なるタコの目がギョロりと私をみつめていた。

〔図版=玉水屋シンボル制作中の河本五郎氏 1960年〕

〔雑誌「名店百選」No.2 1965年名店百選会〕

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